手数料について
公証人が受け取る手数料等については、公証人手数料令(平成5年政令224号)によって定められています。ここでは、公正証書の作成手数料について説明します。認証の手数料については、「私文書の認証」のページをご覧ください。
法律行為の目的の価額に応じた手数料
法律行為に関する公正証書作成の手数料は、原則として、その法律行為の目的の価額の区分に応じて基本的な手数料が定められています。
具体的には、目的の価額が
⑴ 100万円以下 5,000円
⑵ 100万円超200万円以下 7,000円
⑶ 200万円超500万円以下 11,000円
⑷ 500万円超1000万円以下 17,000円
⑸ 1000万円超3000万以下 23,000円
⑹ 3000万円超5000万円以下 29,000円
⑺ 5000万円超1億円以下 43,000円
⑻ 1億円超3億円以下
43,000円に超過額5000万までごとに13,000円を加算した金額
⑼ 3億円超10億円以下
95,000円に超過額5000万までごとに11,000円を加算した金額
⑽ 10億円超
249,000円に超過額5000万までごとに8000円を加算した金額
と定められています。
遺言の手数料
遺言の場合、目的の価額は、原則として遺言の対象財産の価額で決められます。不動産については固定資産評価額、預貯金については現在の残高、株式等については時価が目安となります。相続させる(または遺贈する)という行為ごとに基本的な手数料額が算出され、遺言の内容が複数の行為にわたるときは、行為ごとに算出された手数料額を合算して遺言全体の手数料が計算されます。
たとえば、固定資産評価額1000万の不動産を長男に、残高500万の預金を二男にという遺言をする場合を例に説明します。
⑴ 長男に1000万の価額の財産を相続させるという遺言が17,000円
⑵ 二男に500万の価額の財産を相続させるという遺言が11,000円
⑴⑵の合計額28,000円が基本的手数料となります。仮に遺言の内容が⑴のみという場合には、17,000円が基本的な手数料です。
このほか祭祀主宰者の指定、親権者の指定などを遺言で行う場合には、価額が算定不能として取り扱われることから、行為1個当たり、1万1000円の手数料が加算となります。
遺言の目的の価額が総額で1億円を超えないときは、この基本的な手数料に11,000円を加算するとされており、これを遺言加算といいます。遺言以外の法律行為ではこのような加算が行われることはありません。
なお、遺言に限らず、公正証書の原本は、所定の期間、公証役場で保管されますが、当事者の方から、保管料をいただくことは一切ありません。
任意後見の手数料
任意後見契約については、契約の目的物の価額が一律に算定不能として取り扱われることになっています(後出の財産管理等委任契約と異なり、報酬の額等は関係ありません)。この結果、任意後見契約の基本的な手数料は、1万1000円となります。
移行型の場合、財産管理等委任契約の基本的な手数料がこれに加算されます。期間の定めのない継続的な委任契約であれば、10年間における所定報酬の総額を基準として、その倍額が契約の目的物の価額とされます(当事者双方が互いに履行義務を負う双務契約ですので、契約の目的物の価額は、10年間における報酬総額の倍額となります)。報酬の定めがなければ、契約の目的物の価額が算定不能として取り扱われ、 基本的な手数料の額が1万1000円となります。
枚数加算、正本、謄本の料金について
次に、公正証書の枚数1枚250円を基準として、枚数による加算が行われたり(4枚を超えたとき1枚250円の計算で加算)、公正証書の正本や謄本の料金が別途1枚250円で計算されて基本的な手数料に加算されますので、これらの合計額が最終的な手数料となります。
上記の遺言の例で遺言公正証書の枚数が仮に8枚だったとすると
⑴⑵の合計額+遺言加算(11,000円)+枚数加算(1000円)+正本・謄本代(4000円)の計算で、計4万4000円が最終的な手数料となります。
出張作成の場合の手数料について
遺言や任意後見など、公証人が直接当事者の意思を確認して公正証書を作成することが求められる場合に、当事者の方が身体的な理由その他によって公証役場に出頭できない事情がある場合には、公証人が、当事者の方のご自宅や事務所、入院先等に出張して公正証書を作成することが認められています。この場合、遺言等の作成手数料のほかに出張日当として通常1万円程度の出張日当が加算されますし、当事者の方が入院中であるなどの事情で病床において公正証書を作成する場合には、病床加算という特別の加算がされることとなります。公証人が負担した交通費についても実費として請求させていただいております。
遺言以外の公正証書について
遺言以外の公正証書についても、基本的に、個々の法律行為の対象財産の価額を基準に手数料額が算出され、1通の公正証書に複数の法律行為が盛り込まれている場合(離婚給付契約公正証書に、養育費とそれ以外の財産給付(慰謝料・財産分与等)が盛り込まれている場合等)には、これらを合算して手数料額が計算されます。
遺言加算のような制度は、遺言以外の公正証書についてはありません。公正証書に枚数による加算、正本・謄本の料金については、遺言以外の公正証書についても、基本的に同じ計算方法がとられています。
これら以外の場合の算定方法等詳細は、公証役場までお問合せいただくか、日本公証人連合会のホームページをご参照ください。